2007年08月25日
かなり前のT研サロン誌に、M上氏が書かれた文章で『岩間の噴泉塔群に行って
みたがゴマシジミは見られなかった』とあったことは憶えていました。従って、
ゴマシジミを採ろうと「岩間の噴泉塔群」に向かった訳ではありません。
「噴泉塔群」とは何ぞや?という単なる好奇心と、そこがAシジミのポイント
であるらしいので、どんな所なのか見ておきたいという事で行ってみることにし
ました。
←の画像、中央やや下に写っている斜面(唐三彩のような感じの所)には高温
の温泉が流れ出ています。そしてこの上部に、少々判りにくいですが、尖塔のよう
なものが写っています。どうやらこれが「噴泉塔」なるもののようです。「群」
にはなっていませんが、ここはこれだけ。どうやら渡渉して行った別ポイントで
は「群」になっているらしいのですが、蝶じゃないのでそこまでして見に行く気
になれませんでした。
また、Aシジミのポイントも対岸のような雰囲気だったのですが、この時期に行
っても見られる訳ないのでこれもパス。
←のお池、岩間ヒュッテ付近にあったワイルドな露天風呂です。帰りには必ず
入浴しようと決めていたので、この谷から急ぎ戻り、裸になって早速入ろうと左
足の先をちょこっと浸けてみると、飛び上がりそうな熱さです。「熱湯とちゃう
か?こんなん絶対入れへんわ…」と裸で佇む私。かなりマヌケな姿ですな。仕方
がないので、放置されていた穴あき洗面器に、このお湯と水(何故かホースから
常時出ていた)をブレンドし、適温にしてから湯浴み。アブの攻撃にも遭うし、
けっこう情けなかったです。
結局、新岩間温泉(一軒宿の温泉旅館は休業中)の駐車場から往復3.5時間か
けて採集した蝶はウラクロシジミ1雌、ジョウザンミドリシジミ1雌、フジミドリ
シジミ1雌と何故かゼフばかり。いずれもこの時期にしてはそこそこキレイな個
体でした。
さて、この画像ですが、丸石谷付近になります。
丸石谷というゴマシジミの記録は何処で得られたものかいな?と谷沿いの林
道を入ってみたのですが、すぐに行き止まり。この行き止まり付近の斜面に近づ
きチョッと登ってみたのですが、カライトソウは見出せず、「何処で採れたんや
ろ…」とブツブツ呟きながら、車で県道へ戻る途中に車窓から見えたのがこの
斜面です。
「もしかすると道路上に設置されたコンクリート庇の上部斜面がポイントか
ぁ?」と思ったので早速登って(とっても登り難い。梯子が必要ですな)みる
と、この斜面は期待に反してコンクリートが吹きつけられたダメ斜面でした。
これでいっきに気合が抜けてしまい、今回の「山ゴマ・ファイト3日間の旅」
はこれで終了となりました。
2007年08月28日
長々と続けた山ゴマのお話も前回でおしまい。今日からは中国地方のゴマシジ
ミのお話しになります。
標高1000m以上の山奥に棲む山ゴマとは打って変わって、中国地方のゴマシジ
ミ、中でも吉備高原に産するゴマシジミは里の蝶になります。このような生息環
境の多様性もギフチョウと通ずるところがありますね。
ということで、この地域で本種を探す場合は、小さな集落付近で耕作維持され
ている田畑周辺がその探索対象となります。
あらかじめ地形図で狙いの地域を絞り込んでおいて現地に赴き、
・棚田の縁の水路まわり。
・農道と田畑の間の斜面。
・田畑への日照を確保する為に刈り込まれた斜面。
・未だ残っていれば採草地。
・民家背後にある刈り込まれた斜面。
を探すことになります。このような場所ですから、誰彼か地元の方が、必ず私を観
察なさっているとの意識を持って行動しています。そして、誰かにお会いしたら、
必ず私の方から先制のご挨拶です。
こうしていると、ほとんどの場合、快く探すことを許可してくださるのですが、
「そこはマムシが出るよ」とか仰ったりするときがあります。この場合、「きっ
と入って欲しくないのだな」と悟り、「慣れてますから平気です!(マムシ画像
も撮りたいし…)」などとは言わず、素直に立ち去るようにしています。
2007年08月30日
画像が無いと、なんか寂しいので標本画像ではありますが貼っておきました。
この個体は2006年に採集した岡山県新見市(旧**町)の個体です。地色は
若干褐色気味ですが、大きなクサビ型の紋が出ています。
貼り付ける画像としては、生息環境または生息地と予想した場所(画像はそ
れぞれ撮ってきているし)のつもりだったのですがやめておきました。という
のは、その場所はたいてい民家の近くになるので、特定された場合、何かと問題
が起こりそうなもんで…。
ところで、自分が採りに行っておいてこんな事を書くのもなんですが、ゴマシ
ジミって採ったら減りますよね。
特に狭い面積で世代を繰り返しているようなポイントでは、たとえ土地の環
境に変化がなくても、成虫を採った翌年の個体数は明らかに少なくなっている
ように思います。一人の採集者が年に1回、細々と採っているだけならまだしも、
複数の採集者が入れ替わり同じ場所で採ったら、近い将来確実に居なくなって
しまうでしょう。
「成虫のみの採集であれば、たとえかなりの個体数を採ったとしても、生息環
境が良好に維持されていれば、蝶は減らない」と言われてきました。けどこの説
、何か怪しいなぁ。
私たち蝶屋は、「コレ、きっと採ったから減ったんだろうな…」というような
事例を何度も経験していると思います。
けれども反対に「毎年、大人数の採集者が、い〜ッぱい採ってるのに、ここの
この蝶、全然減らへんわ」というような例を、私は寡聞にして存じません。
2007年09月01日
北海道や東北の一部地域を除いて、日本国内でゴマシジミを採集するのは、自
粛すべきだろうという御意見があることは承知しております。
そのうえ、「ゴマシジミは採ったら減る」とか書いておきながら、オマエは採
りに行ってるのじゃないのかって?ハイ、8月は毎週採りに行っておりました。
ゴマシジミ、大好きなんですネ、私。
ということで、08月19日は岡山県新見市〜広島県庄原市にかけて本種の探索
をしておりました。
無いと寂しいので今回も貼り付けたこの画像は2006年に採集した個体です。
この個体、この地域としては表面のブルーがやや発達気味です。
おそらく農家の高齢化と、国の農業政策の結果でしょうが、放置された水田は
至る所に在ります。また、山や谷を切り通して立派な農道が整備され、元はゴマ
シジミの生息地だったと思われる場所を消滅させています。これらのことから、
確かにこの地域のゴマシジミの存続は危ういように思います。
しかしながら、だからといって、そこに行かなければ、「この時点でこの場所に
ゴマシジミが生息していたんだ」という記録すら残りません。ですから私はその
記録を後世に残そうという使命感に燃え…って、本当は予想通りに当てた新ポイ
ントで「採ったどーッ!」と叫びたいだけなんですけどね。
2007年09月04日
無いと寂しいので貼り付けたこの生態画像は今年のものではありません。昨年
(2006年08月20日岡山県新見市旧**町)採らずに撮るだけにしておいた個体
です。
このポイント、面積が狭い割りに去年はけっこう見られたのですが、今年は少
なく感じられました。
私が去年、・頭近く採ったからなのかなぁ…。
さて、08月19日の岡山県新見市〜広島県庄原市にかけての探索では、
・新規に探索し、見事返り討ちにあった場所が7ヵ所。
・昨年見られたのに今年は見られなかったポイントが3ヵ所。
・今年も見られたが、昨年よりも個体数が少なかったポイントが2ヵ所。
・「採ったどーッ!」と叫べた新規開拓ポイントが3ヵ所。
という結果に終わりました。
この地域のゴマシジミ、確かにその存続が危ういとは思いますが、このように、
探せばまだまだポイントが見つかるので、西三河・東濃地域のような危機的状況
にまでは、なっていないと思われます。
2007年09月06日
えっと、未だ中国地方のゴマシジミです。今日からは08月26日に行った広島県
のお話しになります。
←の画像の場所(現在三次市だが旧甲奴町)に入った瞬間、ここは居るやろと
かなり期待したのですが、おりません。見掛け倒しでした。
この日は旧総領町と旧甲奴町を主たる対象地域に選んで探索したのですが、こ
とごとく居りません。旧総領町ではあまり良い場所を見出せなかったのですが、
旧甲奴町ではとても良さそうに見える場所が多かったにもかかわらず全く見ら
れませんでした。
まぁ、私程度の実力では、「探したけど居なかった」と言ってもその信憑性に
疑問が投げかけられるのは目に見えております。けど、かなり努力したんですョ。
大雑把な言い方で恐縮ですが、この広島県内では、西および南の方へ行けば行
くほどゴマシジミの生息地が無くなっていくように感じます。
2007年09月08日
↑は今年の生態画像、08月26日に神石高原町で撮影しました。この個体は、ご覧
のように少々汚損しており、撮るだけにとどめておきました。
旧総領町や旧甲奴町では良い環境があっても、ことごとく居りませんでした
が、ここ神石高原町にまで戻って来るとまだまだ見られます。今回は旧総領町と
旧甲奴町を探索対象としておったので、神石高原町ではとりあえず既知のポイ
ントを回り、その周辺のよさげな場所に何ヶ所か入ってみたところ、そのうちの
2ヶ所でゴマシジミを見ることができました。
神石高原町とは言え、「ついで」のような感じやってみて新規のポイントを2
ヶ所増やすことができたのですから、まあ良しとしましょう。
先週の日曜日09月02日も、何とかゴマシジミならイケそうな天候だったのです
が、家族で温水プールにお出かけ。従って今年のゴマシジミはこの08月26日で最
後となりました。
しかし、強力な7歳児のお相手は、広島日帰りゴマ採集(しかも軽トラ移動)
よりも数倍疲れますな…。
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