2008年11月27日
前回書き忘れましたが、11月24日はK大の学園祭に行ってT研の展示を見てきました。
じっくりと標本及び生態写真等を見せていただいた後、
K氏から近接撮影の方法を教えていただき、とても参考になりました。
また、Y研の展示教室に行ってみると、今年もシマヘビ君とのふれあいコーナーがあったのですが、
去年のように大きな個体ではなく、小さな個体だったので、絡んでもらえずチョッと残念。
さて、元に戻って標本撮影のお話しを続けます。
突然ですが、簡易型ミニスタジオの開発を思いつきました。
どういうことかと申しますと、照明を蛍光灯に変えたことにより、
・蛍光灯は電球に比べ1/5発熱量で済む
・ということは短時間なら薄い紙に接触させてもOK
・ならば紙でミニスタジオを作ったらエエやん
という事で紙製のミニスタジオを完成させて撮ってみた標本画像が
←です。
使用したカメラはリコー製の所謂コンデジ。
1/2.5型CCD で有効画素数は約800万という、2007年製の一般的な普通のコンデジです。
(リコー製ということで、あまり一般的ではないかな?)
撮影時の設定としては、ホワイトバランスを手動セットした以外、
露出からピント合わせに至るまで全てカメラ任せで撮影しました。
いかがでしょう、その割にはかなりのクオリティーで写っていると思われませんか?
「まあ、確かにそう思うけど、また難しい工作で大層なミニスタジオを作ったんちゃうの?」
とのお声が聞こえてきそうですが、今回はそんなことはございません。
信じられないぐらい簡単にできるミニスタジオの
・作成に要した時間は約40分
・しかも製作材料費はほぼタダ(照明装置は除く)
というシロモノです。
ハイ皆さん、もうお気づきですね。そう、次回から、この時期恒例の「ふしみやの工作」が始まります。
2008年11月30日
今回の工作に使う主な材料は↑の段ボール箱1個と昨年のカレンダー3枚です。
あと、副資材としてガムテープと両面テープが必要になります。
道具としては、物差し・カッターナイフ・鋏・コンパスの4点。
いずれも一般家庭にあるものばかりだと思います。
それでは工作を始めましょう。
先ずは段ボール箱の底に元々貼ってあるガムテープをはがし、一旦箱を潰します。
これを再度展開し、底と蓋のピラピラを立て、この画像のように各コーナーをガムテープで貼り付けます。
こうして、云わば四角い筒を作成する訳です。
これで段ボール箱の加工はおしまいです。
次にこの段ボール筒の「穴あき蓋」を作成します。
上で作った段ボール箱上部の縦横寸法よりも、それぞれ約6cmほど大きな段ボール板を2枚重ねて貼り付けます。
これは蓋の強度を上げるために2枚貼り合せるのであって、なければ1枚でもOKです。
この段ボール板に
←のように両面テープ(黄色いの)を貼り、ここにカレンダーの白い裏面が上になるよう貼り付けます。
この白い板の中心に、お手持ちのコンデジのレンズ筒最大外径よりも少しだけ大きな円をコンパスで描きます。
この円に内接もしくは外接するようにカッターナイフを突き刺して行きます。
こして円に近似の切れ目が入ったら、これをつなぐような感じで更に切れ目を入れ、
上図右側のように丸穴を抜きます。今回の作業では、この工程が一番難しいでしょう。
これで、簡易型ミニスタジオの工作は終了です。
次回は撮影編になります。
2008年12月03日
四角い段ボールの筒と穴あき段ボール板を使って、ホンマに上手いこと行くんかいな?
とお思いでしょうが、これが案外楽に撮れるんです。
それでは撮影方法です。
机上に白い紙を敷き、その上に電球型蛍光灯と針刺し用ベースを
←な感じで配置します。
分かり易いように、標本をベースに刺して写しましたが、この時点では標本は未だセットしません。
この電球型蛍光灯と針刺し用ベース全体に、ゴボッと段ボールの筒を被せます。
カレンダー2枚の白色面を内側に向け、この段ボール筒内壁に沿うように入れ込みます。
今回はそのままにしておきましたが、カレンダーを安定させる為に、
継ぎ目をセロテープで留める方がよいと思います。
上の画像、右側はカレンダーを入れ込んだ後、標本を刺して蛍光灯を点灯した状態です。
これで段ボール筒側の設定は完了です。
次はこの段ボール筒上部に穴あきの段ボール板で蓋をします。
そしてこの穴にカメラのレンズを挿入します。
こうして段ボール板の上にカメラを無造作に置いても、
使う機材が、前面部分フラットで軽いコンデジであるが為に、
カメラ自身の重量で段ボール板がたわんだり、レンズがあさっての方向に向いたりしません。
既にお気付きと思いますが、念のため申し添えますと、
デジタル一眼レフやコンデジでもハイエンド機種をお使いの場合、この撮影方法は無理です。
段ボール筒及び段ボール板がカメラの重量に耐え切れません。
もしもそのような機材をお使いの場合、この簡易型ミニスタジオ自体はお使いいただけますが、
カメラの方は三脚等のしっかりした物で保持してくださいね。
撮影方法に戻ります。
こうしてカメラをセットした後、標本をべースに刺す前に、
ベースを少しずらして白紙を置き、照明を点灯します。
置いた白紙が画面いっぱいに入るようにズームを前後させ、
ホワイトバランスを手動でセットしてください。
カメラにもよると思いますが、ホワイトバランスがオートのままでは、
非常に不自然な色合いで写ってしまいます。従って、
「ホワイトバランスの手動セット」は必ず行ってくださいね。
2008年12月06日
ホワイトバランスの手動セットをおススメした以上、その差異を示しておきましょう。
こうして見ると、ホワイトバランス[オート]は論外ですが、
既定の[蛍光灯]と[手動セット]の差は微妙ですね。既定の[蛍光灯]の方が良いような気もしたりして…。
ここでホワイトバランス以外のカメラ側の設定詳細を書いておきましょう。
・画質、サイズ:[Fine 3264×2448]ということで最高画質の最大サイズ
・フォーカス:液晶画面中央の1箇所に固定した[スポットAF]です
・測光方式:カメラ側が総合的に判断する[マルチ]です
・シャープネス:標準
・色の濃さ:普通
・露出補正:0(ゼロ)
・ISO感度:AUTO
・手振れ補正:ON
・マクロモードにしてズームを望遠側にします
というものでございます。
但し、撮影時にはオートブラケットをON(−0.5EV、±0、+0.5EVの3通りを連続撮影)に設定。
セルフタイマーを2秒にセットしてシャッター手押し時のブレを解消します。
そして撮影した後は、このようにペッタンコに畳むことができるので、
家具の隙間等に収納できます。
いかがでしょうか、簡単かつ安価にできる割には、なかなかのモノでしょう?
「けどアンタ、あの標本刺し台は何処にも売ってへんのとちゃうかぁ?」
ですよね。
そう、確かにあの標本刺し台がネックですなぁ…。
2008年12月09日
まだ続けるかーッ!と言われそうですが、今日も標本撮影のお話しです。
そう、あの
標本刺し台を使わずに、ペフ板(布で包んでますが)に直刺しした場合、
合焦範囲の広いコンデジの宿命で、
←の画像のように布目にまできっちりピントが合ってしまいます。
せっかく、簡易型ミニスタジオのおかげで、蝶標本撮影では最も難しい(と思う)
ライティングの問題が解決できたのに、これでは満足できませんね。
誰でも簡単に作成できる標本刺し台を開発しましょうか、
いや、それよりも私が作成して、何らかの方法で販売した方がよいのかもしれません。
ただ、標本撮影をしようと思っている方が、世の中にたくさん居られるとは思えないので、
きっとほとんど売れないでしょうねぇ。
(販売するとなると、材料を原板で仕入れる事になるので、確実に赤字でしょうな…)
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