2009年12月03日
「11月27日の画像では、飼育羽化個体が展翅中やったけど、アンタ、飼育はせぇーへんちゅうてたんとちゃうのかいな?」
とのご質問が投げ掛けられそうです。
そう、基本的に飼育はしないのですが、
「やっぱりココのは飼育羽化の標本も持っといた方がエエで」
とT先輩から、ほとんど終齢にまで育った幼虫24頭と、餌のミヤコグサまで大量に付けていただきました。
改めまして、「ごっつぁんです!」ありがとうございました。
ご存知のように、ギフやゴマそしてキマに至るまで、私がポイントを完全に共有しているのはT先輩だけでございます。
ですから今回も、能登ビアを採ってすぐに「採ったど〜」とウレシソウに電話させていただきました。
この後T先輩も迅速に行動され、能登ビアを得られた訳ですが、私と違って偉いのは母蝶から強制採卵された事。
私のように、「合計で18頭採れた事やし、まっ、エエか…」と成虫だけ採って終わりではアカンのですよね。
今回のように画期的な場所、しかも「各産地で顔が違うんとちゃうか」と言われているシルビアシジミですから、
変異を見なければなりません。
変異を見るには、新鮮な標本が多数必要になります。となると、強制採卵して飼育するのが最も良い方法と言えるでしょう。
成虫だけ採ってオシマイ…、こんなことをしているようでは、蝶屋として、まだまだ未熟者でございますね。
テキストだけでは寂しいので、最近羽化した個体を左に貼り付けておきましょう。
未だ展翅期間が短いので、見易いように待ち針を外すことはできませんが、地色及び斑紋の傾向はお判りいただけると思います。
書き忘れましたが全て石川県産、真ん中の赤いドットを打った個体が雌で、他の4個体は雄です。
2009年12月06日
妙なレイアウトしおってからに…。
きっと不評でしょうね、この画像の並べ方。
去年の今頃は、標本画像撮影や、その編集方法を書いておりましたが、今年はそのようなことをする気も起こらず、
TAGをいぢってこんな風に、みょーなレイアウトにして遊ぶのが関の山。
そして貼るにしても、能登のシルビアシジミぐらいしか無いのが辛いところ。
左側のヤマトシジミ2個体以外は全て能登ビアの飼育羽化個体です。
ところで先日、大阪府箕面市の滝道昆虫さんに用具を注文したついでに、T山氏とお話しする機会がありました。
氏も拙HPをご覧いただいているとの事で、今回の能登ビアについてお話しさせていただいたところ、
「よーもまた、北の方へと行く勇気を出さはったもんや」
とのお褒めの言葉を頂戴しました。
もう、「えっへん!」でございます。
そしてまた、能登ビアの特徴についてはT山氏曰く、
「日本海側シルビアシジミの特徴を総て凝縮したような顔で、エエモンですわぁ…」 との事。
シルビアシジミの変異に精通された氏の言葉ですから、重みがございます。
うん…、とてもうれしゅうございました。
2009年12月09日
標本に付けるラベルは、可能な限り詳しい情報を記入するように心掛けております。
あまり詳しく書くと、「ポイントが判ってしまうからダメ」という考え方(セコイと思う…)もあるようですが、
私は詳しい方がエライ!と思っております。
ということで、母蝶から強制採卵して飼育羽化させた個体用のラベルを作ってみました。
母蝶の採集地、採集日付、採集者までの項目は、普通に成虫採集している個体用と同じですが、
右側に記入した情報も大事だと思います。
特に飼料の採取地は標本の出自を保証する上で重要だと考えております。
皆さん既にお気付きだと思いますが、飼料をシルビアシジミが生息している地域から採って来たりすると、
採取地の個体が混じってしまう可能性がある訳です。従って、与える餌は自宅栽培がベストなのでしょうが、
そうでなければ「非生息地で採って来た餌を与えました」という事を示しておかねばならないでしょう。
即ち、本ラベルの『飼育飼料採取地』という項目が、「この標本の産地信憑性を担保している」
ということになろうかと思います。
と少々真面目に書いたのですが、そもそも上のラベルに使った単語が正しいのかどうか気になってきました。
「飼料」って、どーも違和感があるなぁ。なんかニワトリを飼ってたときの配合飼料を思い出してしまいます。
「亜終齢」という表現、かなりエエかげんなような気がする…。けど、ほかに良い表現が思い浮かばない…。
あっ、それから、ラベルの項目じゃないけど、上の文章内で「担保」っていう単語の使い方は正しいのだろうか?
ところでこのラベルですが、ファイルメーカー上でレイアウトするのに3時間以上かかりました。
けっこう往生したんですわ。ですから、怖くて、未だやっていないんですよね、紙への印刷を。
この「母蝶採集・強制採卵・飼育ラベル」は、打ち出した時の1ピースの大きさが、
巾43o×高さ12oになるハズなのですが、600dpiのレーザープリンターで印刷し、
果たして文字(最小のは2pt)が潰れずに仕上がるのでしょうか…。
とっても心配です。
2009年12月12日
前回のラベル画像の.gifファイルは白黒だったので約8KBという軽さでした。
そこで今日は気前良く、約120KBも使って阿嘉島産リュウキュウウラナミジャノメをUPしてみました。
何故、リュウキュウウラナミジャノメなのかと申しますと、先日「お気に入り」の整理しておりましたところ、
休止中だと認識していたブログが再開されておった訳です。
実は、そのブログこそ、私を「どーしても、阿嘉島へ行きたい!」と動機付けた*さんの『虫、○っ△□、○っ△□』というページでした。
前にも書きましたが、そのページには慶良間諸島の各島で採って来られた本種の標本画像が数多くUPされており、
それを見た瞬間、君の瞳にじゃなくって、その眼状紋に、ふぉ〜りんLOVE!よくあることです…。
そのページに、阿嘉島産の本種は過剰紋の出る個体が3割程度見られると書かれており、
添付されていた画像を見ると、確かにチョッと変な雰囲気を持った個体が並んでいます。
「これはエエもんやんかいさ〜、3割の出現率やったら、行けば必ず採れるんや…」
とノコノコ出かけ、採ってきたのがこの個体。
ウン、やっぱりエエもんでしたわ。
2009年12月15日
ネタがないので、阿嘉島産リュウキュウウラナミジャノメの展翅中標本をもう少しUPしておきましょう。
左に貼った展翅板上の5個体は全て阿嘉島産になります。
この内の4個体は、ご覧のように後翅裏面最上段の眼状紋が特徴的な形をしています。
阿嘉島では本種を合計で16頭採集したのですが、その中でこのような眼状紋を有する個体は6頭でした。
*さんも指摘されていたように、阿嘉島でのこのような個体の出現率は、やはり3割程度と言ってよいでしょう。
今回、慶良間諸島の4島で本種を得ることができたのですが、
他の島々ではこの特徴的な眼状紋を有する個体は皆無でした。
どーやら、阿嘉島で特異的に出現する一つのフォーム(この単語を使うのは好ましくないかも知れませんが…)
だと言えるのかもしれません。
それにしてもこの形状、大きな眼状紋の上部から、
「ぷくぅ〜と泡が吹き出て、もう少しで分離か!」
という直前で止まってしまったイメージですね。
下から2番目の個体なんかは、もう少しで小さな眼状紋が分離しそうなのに惜しいところです。
これらの個体を見ていると、この泡が更に上部へと浮き上がり、
完全に分離独立した眼状紋を有する個体も居るのではないかと思えてきます。
そんな個体を狙って、来年も行ってみようかと思ったりしています。
全く話しは変わって、この画像の色調ですが、なんか寒色系に仕上がってますよね。
照明等の撮影条件は12月12日にUPした雌と同じだったのですが、
今回の左の画像はレンズを変更して撮影しています。
12月12日はPENTAXのマクロ50ミリ、今回のはCOSINAの広角24ミリ(マクロはオマケ)でした。
画角等が違うのは当然ですが、レンズを変えると、色調がこんなにも違って来るもんなんですね。
勉強になりました。
2009年12月18日
Yさん、お待たせいたしました。
紙に印刷した「母蝶採集・強制採卵・飼育ラベル」でございます。
塗りつぶした部分が多くて、少々見苦しいですが、ご容赦願います。
通常、B5用紙で80枚のラベルが製作できるのですが、今回は試し刷りということで23枚分印刷してみました。
12月09日の文章では、巾43o×高さ12oで印刷できる予定と書きましたが、
実際には巾41.5o×高さ12oで仕上がっています。
ご覧のように、文字の潰れも心配していたほど酷くはなく、まずまずの品質でした。
この程度なら、私的許容範囲なので、このレイアウトでいくことにしましょう。
ただ気になるのは「飼育場所」という文字列が上部へ行き過ぎているところ。
手直ししたいのですが、ココをいぢるとまた3時間以上かかりそうなので、今は止めておきます。
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