先ずは私の宮崎県行きが、現実のものとなるまでの経緯を書いておきましょう。
2010年07月22日(木):私も何度かお会いして、お話しもさせていただいた事のあるMさん
のブログに妙なルリシジミがUPされる。
2010年07月23日(金):「妙なルリシジミがMさんのブログにUPされてるで〜」とのメール
をN先輩よりいただく。
これを見て暫くしてから宮崎行きを模索するも正規料金(\51400)
でしか往復できない事が判り、この時点では断念する。
Mさんのブログ上で、ルリシジミ→ヤクシマルリシジミへと種名が
変更される。
2010年07月24日(土):宮崎県在住で、日ごろからMさんのブログをチェックしている大学
時代の1年後輩であるM君も、「もしかして、タッパン…」と気付き、
現地へと赴くも、この日は撮れず。
Mさんのブログ上で、先にヤクシマルリシジミへと種名変更された
妙なルリシジミ画像そのものが削除される。
2010年07月25日(日):かなり粘った末、M君が上の画像撮影に成功。
同日、某掲示板(私が管理人を務めるマイナーな掲示板)にこの個
体ではあるが、反対面の写った画像がUPされる。
2010年07月26日(月):朝一番に迷惑エロ投稿がないかチェックしようとした私の目に、そ
の画像が飛び込んできて、一気に目が覚めるも、「う〜ん、やっぱり、
ヤクルリかも?」と思い直して暫く忘れてる。
2010年07月27日(火):「それにしても見れば見るほどタッパンに見えてくるなぁ…」と
なって来て、「ウン、行こう!」と決定。
この日がマイレージを利用してのチケット予約期限だったので、
とり急ぎ予約する。
予約が取れたということで、この日以降「タッパン、採れたも
同然!」と上機嫌で週末に備える。
といった状況でした。
2010年08月05日
タッパンルリシジミ…。
数年前に与那国島で多くの個体が採集された事がありました。
けれども、30年以上前からやっている蝶屋さんにとっては、タッパンルリシジミと言えば「九州本土の蝶である」
というのが共通の認識だと思います。にもかかわらず近年、九州本土では全くと言ってもよい程、イイ話を聞きませんでした。
ところが今年、2010年の夏になって、 「久々に九州本土で採れてるらしい…、しかも狙って採れるかもョ?」
との噂が漂い始めました。
こういう状況である正に今、日ごろ本HPをご贔屓にしてくださってる皆さんに感謝するという意味で、
私が実際に訪れた宮崎県の状況(伝聞情報が多いのですが…)を、私がこれまでに知り得た範囲で書いておきましょう。
(熊本県と鹿児島県でも観察されているようなのですが、この方面の詳細は存じません)
採れている場所の地名は、皆さん既にご存知だと思うので敢えて書きませんが、宮崎空港から車で約1時間、
しかもポイント横付けという非常に便利な場所にあるので、関西方面から飛行機とレンタカーの利用ならば、
日帰り採集も可能です。
さて、07月22日にMさんにより撮影された個体は、画像本体がブログのサーバーから削除されているので、
今となっては詳細に見ることができないのですが、その新鮮な雌の個体は『タッパンルリシジミである』
ということだったのだと思います。
(私が見たときの印象ではどちらかと言えばルリシジミだと思いました。まっ、私の目は節穴なんですが…)
1日空いて、07月25日にM君により撮影された個体(08月04日にUPした画像)は、
07月22日に撮影されたのとは明らかに別個体のタッパンルリシジミの雌。
因みにこれらの2雌は、いずれも山頂付近で撮影されたものでした。
07月22日に撮影された画像を受けて迅速に行動された地元在住の蝶屋さん(Kさんという方だそうです)
が07月27日に4雄2雌を採集されたとの事。このKさんが採集された個体数については、
別方面から2雄1雌という情報が遠い場所を経由してグルッと廻って来たのですが、
どうやら情報が錯綜しているようで、4雄2雌というのが正解のようです。
少し間が空いて07月31日。山頂付近は常にガスに覆われ、蝶が飛ぶような状況ではなかったそうです。
従って山頂付近では採集されていないと思われますが、この日はなんと、山麓の谷筋でMさんにより1雄採集されています。
しかもこの個体、谷筋で吸水中だったそうな!むむ〜ぅ、ですよね。
そしていよいよ私が現地を訪れた08月01日。
この日も前日と同様、平野部はピカピカの晴れなのに、山頂付近に限って朝から雲がかかっておりました。
これでは朝から山頂へ行ってもどうしようもないので、先ずは昨日採れたと言う谷筋に行ってみました。
この谷筋、そこそこの距離で濡れたアスファルト道路が続いており、至るところで黒いPapilioが吸水していたのですが、
居たルリシジミ類はサツマとヤクルリのみでタッパンはnull。
そうこうしている内に、山頂部の天候もマシになってきたのではあるまいか?と考えてそちらへ移動してみると、
そこはやっぱりガスの中。
午後になってようやくガスはかからなくなったのですが、それでも上空には雲が載っており、
結局帰るまで、気持ちよくスカッと晴れるということはありませんでした。
ということでこの08月01日は、誰のネットにもタッパンルリシジミが収まらなかったと思われておりました。
ところがでございます。
完全にヤクシマルリシジミだと信じられて京都府へお持ち帰りされた個体が1コありました。
その個体、ヤクルリと信じられていたので、当然のことながら冷蔵庫へ直行。庫内で暫く(08月04日まで)
放置されていたのですが、
「朝の間の涼しいうちに、ちょこっと展っとこか…」
と針を刺して、息を吹きかけた瞬間、
「なんじゃこりゃ〜!?」
という叫び声が某店舗の作業場から聞こえたとか…。
2010年08月06日

叫び声の原因は、これ↑でございます。
なさけないことに、採集してから針を刺すまで、何の疑いも無く、ずーっとヤクルリだと信じていました。
相変わらずの節穴、進歩がありません。
以下、現地宮崎県の状況をもう少し詳しく書きますが、その前に近年採れたタッパンルリシジミの復習です。
2001年と2003年、多くの個体が採集されたのは与那国島でした。2001年の12月には、
山麓部のアギンダでも採れたそうですが、やはりメインポイントは宇良部岳の頂上だったようです。
与那国島へ行かれたことのある方はご存知だと思いますが、あの山頂はとても狭いので、
譲り合いながらであれば最大3人での採集は可能でしょうが、通常の感覚で言うと、あそこの定員は1名だと思います。
私は与那国島で本種を観察したことがないのですが、2001年及び2003年03月の宇良部岳山頂へ飛来した個体は、
元気良く飛翔し全く静止せず通過して行くばかりだったとか。従って、
採集された個体のほとんどは、空中戦で得られたものだそうです。
さて、戻って宮崎県。
今回、撮影採集されている山自体は、与那国島宇良部岳とは比べものにならない程の面積と標高をそなえています。
そして、本種が好む「山頂」と呼べる場所の面積はもかなり広いので、
他の蝶屋さんと肩が触れ合うような窮屈さは全くありません。即ち、ポイントになり得る場所がとても広いんです。
具体的にどういうことかと申しますと、尾根上に山頂的環境が点々と連なっているというイメージです。
M君が雌を撮影したポイントと、私が雄を採集したポイント(訪れた初期段階でその空間が『ベストポイント!』
であると推定できたので、かなりしつこくやりました)とは地図上の直線距離で、約300m離れており、
この間は全てポイントになり得ると考えています。実際、最初にMさんが雌を撮影されたのは、
この中間点と言える場所だったようです。
そして今回の場合、特筆すべきは山麓部の谷筋や、この山の中腹でも採れていることです。
こうなると、山頂に至るまでのアスファルト道路沿いに咲くノリウツギ等の花に飛来しているかもしれないので、
この山の全ての場所で採集できる可能性があると思います。
因みに私が採集した個体も、ノリウツギの花に飛来していたものでした。
次に飛び方ですが、4雄2雌採集された方によると(直接お聞きしたのではなく伝聞です)
飛んでいてもその飛び方は緩やかなので、「見つければ、まあ、振り逃がしは無いだろう」
と仰っていたそうです。
確かに私が採った雄も、ノリウツギの花を叩いて、ゆるゆると飛んだ飛翔中の個体を長竿で「ふわり」
とネットインしたものでした。
少ない観察例ではありますが、この「飛び方」というものが与那国島で得られた個体とは全く異なるようです。
この「飛び方」の差異は、何に由来するものなんでしょうね。
迷蝶説をとった場合、「長距離を飛んで来たので疲れてしまい、元気よく飛べなくなった」
という事なのかもしれませんし、一方、土着説ならば、「九州タッパンは別モノ、この九州の地でそういう生態を獲得したのだ」
というように別亜種を匂わすかのような発言も飛び出すかもしれません。
最後に宮崎県への訪問をご検討中の皆さんへのアドバイスとして、
1:今回、チャンスだと思います。無責任に言わせていただくと、行っておくべきでしょう。
2:ノリウツギの花等、その位置が高いので、長竿は必須だと思います。
3:採ったルリシジミ類は全てお持ち帰りしましょう。
特に3が重要だと思っております…。

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