2010年の近況集19

  • 2010年10月26日

     もう1回、和歌山県友ヶ島のお話しです。

     実は「友ヶ島」という名称の島は存在せず、隣接して在る4島の総称として「友ヶ島」と呼ぶようです。 その4島とは、地ノ島、虎島、神島、沖ノ島。
     そして加太港から往復2000円の定期航路で渡れる島は沖ノ島のみとなっております。

     友ヶ島についてWEB上で紹介されている画像のほとんどは、沖ノ島に在る旧日本軍の砲台跡だったのですが、 その中に芝生広場の画像も少数UPされており、これを見た瞬間、
     「この芝生内にミヤコグサさえあれば、生息の可能性があるんじゃないかな…」
    と頭に刻まれました。これに加え、最近やってみたGoogle検索で引っ掛かったhtmlファイルの中に、シルビアシジミの記録地として、
     『和歌山市加太地ノ島(乾風登他 紀州生物NO2)』
    というのを見つけてしまったことから、当地を訪れ、探索してみたという訳です。
     結果、カスリもしなかったということは前回までに書かせていただきました。

     この芝生内、シルビアシジミの食草となり得る植物としては、ヤハズソウが少数生えていたのみで、 その代わり大量にあったのはシカの糞でございました。
     推定ですがこの芝生は人手によって綺麗に刈り込まれているのではなく、シカの舐め喰いによって 草丈の短さが維持されているようです。
     こんな小さな島に野生のシカが居るのはおかしいのではないか?と思って調べてみると、 この島がけっこうな観光地だった頃に、人為的にシカとリスが持ち込まれ、現在では野生化しているということでした。

     今回、かなりの広範囲を調べてみたのですが、推定でこれら哺乳類の食害により、 いずれの場所でも樹林内の下草はほぼ無くなっており、沖ノ島の原植生は崩壊しているとの印象を受けました。
     このような過去の放獣さえなければ、もしかすると、ミヤコグサを含む小さな草付きが、 海岸岩場から樹林帯の境界付近まで続いていたかもしれません。

     一方↑は、持ち込み哺乳類による原植生の崩壊が起こっていないと思われる地ノ島です。
     虎島の突端から、コンデジの最望遠側で撮った画像なのですが、コントラストが低く不鮮明で、イマイチよく判りませんね。
     けれどもその気(妄想にとって都合良くということです)で見れば、 岩場にはミヤコグサを含んだ草付きが在るように思えてきました。
     しかも、この島はシルビアシジミの文献上の記録地。
     どうすれば行くことができるのでしょうねぇ…。

     

  • 2010年10月29日

     最初にご注意です。↑のように非力なPCで開こうとすると、フリーズしてしまい、Ctrl+Alt+Deleteで再起動の後、 ブルー画面になってエラースキャンという不快な症状を呈するので、 後ほど出てくる画像ファイルを非力なPCで開こうとなさいませんように。 (こんなマシーンを使ってるような方は今どきおられませんでしょうが)

     現在、ごく普通に使われているPCは、たいてい↑程度のスペックを持っていると思います。 こんなPCであれば難なく開くことができますが、ネットの接続環境によっては、 ダウンロードに時間がかかるので注意してくださいね。

     で、何をやっているのかと申しますと、 4536×2952ピクセルで2〜3MBもあるキマ画像をUPし、迫力の大画像で標本をご覧いただこうと、チマチマ作業しております。
     TOPページ下部にあるキマ画像をクリックし、進んでいただくのが正規ルートなのですが、 ここ をクリックしていただくと先程リンクで示した「4536×2952ピクセルで2〜3MBもあるキマ画像」の元ページが表示されます。
     今日は、左京区表 から跳べる全てのページにおいて、プレート画像をクリックすると大画像が表示されるように改良しておきました。

     

  • 2010年11月01日

     10月30日(土)17:00気象庁発表の天気予報では、31日(日)の和歌山県全域は午前中晴れで昼頃から曇り、 そして夕方からは雨ということでした。同庁WEBページ内の「天気分布予報」でも、近畿地方で午前中オレンジ色のメッシュに 覆われているのは、和歌山県だけでございました。
     一方、10年近く前から、けっこう信頼しているのですが、国際気象海洋株式会社がWEB上で提供している3時間毎の卓越天気予報 (http://www.imocwx.com/guid.htm)によると、和歌山県は朝からず〜っと雨…。
     全く正反対の予報です、どちらを信用すればよいのだ?と悩んだのですが、 結局は私自身の行きたい気持ちに好都合な方の予報を信じることにしました。

     京都から南下するにつれて、雲の厚みが増して来るような気配を感じながらも、
     「気象庁が間違えるハズはない。現地に着いたら必ず晴れてる!」
    と自分を騙しながら阪和道を南下。
     そして目的地、和歌山県の某所へと到着してみると、思いっきり元気よく雨が降っておりました。

     地形図とGoogle Earthの画像から推定した通りの場所に↑こうしてミヤコグサが生えており、 シルビアシジミ探索の第一段階である食草が生えている場所の読みは的中。これはこれでよかったのですが、 ご覧のように水滴まみれです。
     「ホラね、似たような画像でしょ」←すいません、某氏の日記を読んだ方以外には意味不明ですね。

     この雨はカメラが壊れてしまいそうなぐらいの降り方だったので、車から降りてガサゴソ探そうという気持も、 萎えてしまいそうです。
     これまで、傘というような縁起でもない道具は持たないようにしておったのですが、 雨中において成虫採集は無理だとしても、傘さえあれば濡れずに食草が探せたんですね…。
     今回これで、「傘というものは車に積んでおくべき道具である」と学習できました。
     ということで次回からは、傘も持参することに致しましょう。

     

  • 2010年11月04日

     以前は、ルーミスシジミとかクロツバメシジミで、和歌山県の海南市や有田市を何度か訪れたり通過したりしていたのですが、 最近はご無沙汰。今回、久し振りの訪問となりました。
     これまで、私がこの地方へと訪れた際に、必ず食したものといえば「サバのなれ寿司」でございます。

     そして、和歌山県のスーパーといえばオークワですね。
     昼食用にと、海南市のオークワで見つけた「サバのなれ寿司」ですが、 そのネーミングが超びみょー。
     この文字列を見た瞬間、フィールドでシルビアシジミを探しているときに、 突然メスグロヒョウモンの雌に出くわしたような感覚がよぎります。
     「おまめのなれ寿司とな…、ネタはサバではないのかな。もしかして大豆かぁ?
      ならば葉っぱを剥いたときに糸でも引くのかな」
    と恐る恐る剥いてみたところ、

    ご覧のように↑至って普通のサバなれ寿司、ウン、とっても美味しゅうございました。

     あっ、それから「おまめのなれ寿司」なる文字列を読んで、コレが何であろうかと必死に理解しようとしたとき、 何故か大昔に読んだ「がきデカ」で、こまわり君が握るP****寿司を思い出してしまいました。かなり下品ですね、私。

     そして↑はクロツ・ポイント(私は採ったことありませんが)のすぐそばに在る由利商店で製造販売されている品物、 家へのお土産として購入しました。
     私以外の家族へはスッキリした味の早寿司、私のような発酵食品好きのオッサンには濃厚なフレーバーを放つ、 なれ寿司ということになります。
     この由利商店のなれ寿司、そこに棲む菌類のなせる業なのでしょうが、お口に入れたときにほんの一瞬、 日本酒の吟醸香に似た香りを感じることができます。
     もー、病みつき、大好きなんですよ。

     

  • 2010年11月07日

      「紙に印刷された報告でないと、『記録』として認めないという考え方はおかしいのではないか?」
    とか、
      「今の時代、『記録』を載せるべき専門誌でも、紙への印刷物という形態をとらずにPDFファイル
       にしてメール配信し、パソコンで読むようにすれば良いのではないか」
    という御意見があることも承知しております。

     けどね、私は電源がないと読めないようなものは、『記録』として認めたくないんですよ。

     だからこそ、『記録』を発表する場であるところの、定期刊行を謳う専門誌は、 定期的に発行されなアカンのですわ。

     理念については、大いに賛同できるので、書き手という立場で応援したいと思っていても、
      「原稿書いて送っても、印刷物になるのが何時になる事かわからへんしなぁ〜」
    と応援する側の気持ちを萎えさせている現状に、発行側は危機感を抱くべきだと思っております。

  • 2010年 10月  成虫採集・展翅:西口 隆