2010年11月30日
近畿2府4県と言われていますが、一般に福井県と三重県もこれに含めることが多いと思います。
そこで本編では、この2県も加えた2府6県を近畿地方と定義してお話しを進めます。
近畿地方におけるシルビアシジミの分布ですが、NPO法人野生生物調査協会とNPO法人Envision環境保全事務所が
作成・運営している「日本のレッドデータ検索システム」
によると、福井県以外の2府5県において過去には生息していたということになっています。
リンク先の地図では白ぬきで、記録がなかったような扱いになっている福井県ですが、「小浜市下根来と鬼ヶ谷」
に記録があると「保育社 昭和59年5月1日発行 原色日本蝶類生態図鑑(III)」の256ページに記述されています。
従いまして、原色日本蝶類生態図鑑(III)の記録も含めると、
近畿地方2府6県の全てにおいてシルビアシジミは記録されているということになります。
ご存知のようにシルビアシジミは各地において激減し、危機的状況であると言われています。
けれども、果たして本当にシルビアシジミって、そんなにアブナイのでしょうか。
保護・保全な人々にとっては、「危ない、絶滅は近いぞ!」と危機を煽っておけばよいのでしょうが、
現時点での真の分布を記録に留めておきたい私のような蝶屋にとっては、
「先のNPO2法人がUPしている地図を見ると、絶滅したとか分布してないとされてる所が多いけ
ど、ホンマにちゃんと調べたんかいな?(この地図、私はエエ加減な塗り分け方やと思います)」
と言いたくなってしまいます。
2010年12月02日
あくまでも私の主観ですが、2010年12月現在、
近畿地方各府県におけるシルビアシジミの居ない可能性が高い順番は、
奈良県≧滋賀県≧京都府>福井県>三重県
ということになります。何故この順番にしたかと申しますと、
・奈良県: 勉強不足なのか、過去において、奈良県内の何処で採れていたのかすら判りま
せん。大和川や吉野川の流域だったのかなぁ?
本県における確かな記録地をご存知の方が居られましたら、ぜひともその場所
を教えていただきたいと思っております。
少なくとも2010年11月現在、木津川支流が京都府との府県境から奈良市北部
へと食い込むあたりでは、良い環境が見出せませんでした。
・滋賀県: 奈良県と違って、当県は過去に採れた場所の字名が判っています。そこは以前
も書きましたが「坂田郡山東町長岡天ノ川」とされています。おそらく1/25000
地形図内では『天野川』と記されている川の堤防だったのでしょう。
数年前、当地を訪れ、探索したときには少量のミヤコグサを見出すことはできた
ものの、シバ草原はほとんど存在せず、現状では生息できる環境ではありません
でした。
当県の場合、湖西地域での生息可能性は、ほぼゼロだと思います。しかしながら
湖東地域においては、その可能性が限りなくゼロに近いと思うものの、何ヶ所かは
探してみたい候補地があります。
・京都府: 過去に採れていたのは、北部の福知山市土師(推定、由良川支流土師川堤防)、
南部の旧綴喜郡田辺町三山木(推定、木津川堤防)、南西部の乙訓郡大山崎町
(推定、桂川堤防)と言われていますが、私は文献上の記録や標本を見たことがあ
りません。
近年、これらの場所で探索を試みたところ、結果として全く見られなかったのです
が、そのときの状況を以下簡単に記しておきましょう。
旧綴喜郡田辺町三山木(木津川堤防)は好環境で、少量のミヤコグサも見出せ
ました。乙訓郡大山崎町(桂川堤防)ではミヤコグサは見出せなかったものの、他
の食草になり得る植物を含んだシバ草原は存在していました。
そして福知山市土師なのですが、実はココ、元々どの場所を差しているのか不明
の上に、大雑把にココだろうと推定した場所に行ってみても、本種の生息環境が全
くありませんでした。
あと、若狭湾から丹後半島にかけて「海ビア」が生息しているのではないかと考
えて何度か探索しているのですが、これまでのところミヤコグサを見出せたのは、
植栽されたと推定される芝生内の一ヶ所のみという情けない結果に終わっていま
す。
テキストばかりで長くなり過ぎたので、今日はここで一旦切ります。
2010年12月05日
12月02日からの続きです。
福井県の現況に入る前に今一度、前回の居ないだろう順位を挙げておきますと、
奈良県≧滋賀県≧京都府>福井県>三重県
この順番をよくご覧いただくと、不等号の質が京都府と福井県の間で変わっていることに気付かれたと思います。
これの意味するところは、
「ここまでの1府2県におけるシルビアシジミ生息可能性は限りなくゼロに近いというレベルで
ほぼ同等。ところが福井県に入ると生息可能性が1段階レベルアップする、と私は考える。」
ということなんですよ。
・福井県: 先ずは嶺北地方(この地方は近畿と言うより北陸ですね)の海沿いはこれまでに
2度訪れました。海岸岩場近くにミヤコグサの生える場所は数箇所確認できたもの
のシルビアシジミは未発見。生息していそうな雰囲気はあまり感じられませんでした
が時期を外している可能性もあります。
次に嶺南地方、こちらは近畿と言っても差しつかえないでしょう。特に若狭地域は
京都人蝶屋にとって「地元」と言える場所です。 ココで未記録種が採れたりすると、
ホント悔しくて悔しくて、もぉー、地団駄! 話が外れてますね…。
話を戻してシルビアシジミ。過去の記録地「下根来」が小浜湾に注ぐ「北川」上
流に在ることから、この堤防をかなり丁寧に自転車で見て廻り、各所でミヤコグサを
確認しましたが本種は見られず。さらに海ビアを対象に2回若狭湾沿いを探索しまし
たが、いずれもミヤコグサの好む岩場すら見つけることができずに敗退いたしまし
た。
ただこの若狭地域、土手ビアから畦ビアにかけては未だ探すべき地区が少し残
っていますし、海ビアにおいても原子力発電所がひしめく敦賀半島なんかは、有望
であるにもかかわらず未だ訪問すらしていません。(と言うか、美味しそうな場所は
立ち入り禁止かも…)
・三重県: 今年の成虫期に、伊勢湾に接する平野部の河川堤防をメインに2回訪れました。
生えているミヤコグサの量多く環境も良好、生息していても不思議ではありません。
実は、当ページで一度詳細地名を明かしたことを後悔しているほどなんですよ。
という訳で先の日曜日、11月28日も↑の伊勢うどんを買いに…、ではなく、環境を
探しに三重県を訪問しておりました。
今回はこれまでの続きで、伊勢湾に接する平野部で探索したのですが、結果、居
そうですね…。せめて一ヶ月早く訪問していたら、「採ったどー!」と叫べたかも
しれません。
以上、近畿地方各府県のシルビアシジミ居ない度を比較解説させていただきました。
最後に、わたくし、正直なところ他の府県はかなり厳しいと思っておりますが、
三重県の伊勢湾に接する平野部のどこかには必ずシルビアシジミが居ると信じております。
そして、もしもこの伊勢湾に接する平野部に居なかったとしても、熊野灘に接する岩場及び平野部が
未だ全くの未調査なので、まだまだ可能性を秘めた県だと言えるでしょう。
2010年12月08日
「またスーパーで売ってる寿司かいな…」
とのお声が聞こえてきそうです。
これ↓は一般的なタイプのさんま押し寿司、紀伊半島海岸部では普遍的に分布する謂わば原名亜種といったところでしょうか。
先の日曜日、12月05日も三重県へ行って参りました。狙いはもちろんシルビアシジミ。
今の時期ですから生息環境、即ちミヤコグサの生える草原探しということになりますね。
今回も伊勢湾沿いの地域で探してみた結果、う〜ん、やっぱり居そうですね。
けど、実際は居ないのかも…。
何故なら、私が探している地域は、母校の生物同好会OBであるところのN先輩のお膝元。生息しているものであれば、
N先輩とそのグループの方々が、見落とすハズありませんからねぇ〜。
なので、「無駄な努力をしているのではないか?」との疑念を密かに抱きつつ、探しております。
それでも、「居ない、絶った」と言われてる場所で採ったときの快感が忘れられないものですから、
今年はこれで都合4回も三重県を訪問してしまいました。
ここまで三重県に拘ったのは、
1:1980年代半ば以降生息が確認されていないので、探し甲斐がある。
2:○×△□☆〔〕漆BeeQ・に居たのであるから三重県に居ないハズはない。
3:いかにも!といった草地は各所に存在しており、そこにはミヤコグサも生えている。
といった理由なのですが、特に上の3…。あまりにも美味しそうな環境があるものですから、
何度も探しに行きたくなるんですよねぇ〜。
ということで、来年の今頃は三重県について多くを語らず、
高知県でのシルビアシジミ生息可能性について熱く書き綴っていたいものです。
|