2012年07月04日
「P氏のお見舞いに、『鱧のおとし』を途中の魚屋で買うて持って行こうと思うねん。
けっこうウケそうやろ」
と、保冷剤として凍らせていたペットボトルを冷蔵庫から取り出しながら嫁さんに話しかけると、
「病院に生ものを持って行くのはNG。やめときなはれ」
とのお言葉。
「『鱧のおとし』は生とちゃうけどな…、添付の梅肉には殺菌力もあるし」
と反論しようと思ったのですが、よく考えると嫁さんのご指摘通りなので素直に従い、手ぶらでお見舞いに行ってきました。
で、お見舞い対象の本人は予想通りに元気。今週末にも退院できるだろうということだったので、なによりございました。
話しはコロッと変わって、今をさかのぼること約40年前、このP氏と一緒に京都市周辺で蝶を採っていた頃は
展翅テープとしてパラフィン紙を使っていました。しかもパラフィン紙の原紙から自分で切り出していたものですから、
切り出し時の直線精度を向上させるために苦労したことを憶えています。
結局、このパラフィン紙の展翅テープは1980年頃まで使い続けていたのですが、1981年以降、
蝶屋休止期に入り全く展翅をしないという状況が10数年続きました。
そして1993年の蝶屋復活以降、展翅板はアートINBY製、展翅テープは旧蝶研出版製のスーパー展翅テープ(旧タイプ)
の組み合わせで展翅をするようになり、そのあまりの使い易さに感動したものです。
ところが、旧タイプのスーパー展翅テープが廃版になってしまい、旧蝶研出版の在庫も瞬く間に無くなってしまいました。
そこで慌てて昆虫工芸K村さんに電話し、残っていた1号と5号を全て買い込んだものの、今ではさすがに在庫が尽きつつありました。
「展翅テープをどないかせんとアカンなぁ〜、新タイプのスーパー展翅テープは
線が入ってるらしいけど、線はかえって邪魔やし…。
完全透明のテープで展翅している画像もよく見かけるけど静電気が心配やなぁ〜、
うう〜ん、どないしたもんかなー」
と悩んでいた矢先、2011年の秋頃突然にアートINBYさんから「アートINBY製スーパー展翅テープ」の0,1,2,3号が各1袋ずつ合計80枚届きました。
「アレ?注文してないのになぁ」
と一瞬不審に思ったのですが、添えられた文書には、私がYouTubeにUPした蝶関係の動画・展翅編01
や蝶関係の動画・展翅編02をご覧になり、色んな意味で驚かれたらしく、
この「アートINBY製スーパー展翅テープ」も一度使ってみて感想をお聞かせくださいという趣旨の文章が記されていました。
そこで早速お礼の電話を入れたものの、「次回の展翅は2012年の春以降になるので、申し訳ありませんが感想はかなり遅くなります」
と言ってこのときは電話を切りました。
という事で、ようやくではございますが感想です。
前回(07月01日)のリュウキュウヒメジャノメとリュウキュウウラナミジャノメを展った板は
左が「アートINBY製スーパー展翅テープ」の使用で、右が「蝶研出版製旧スーパー展翅テープ」でした。
そして今日の↑画像も左が「アートINBY製スーパー展翅テープ」の使用で、右が「蝶研出版製旧スーパー展翅テープ」です。
ご覧のように「アートINBY製スーパー展翅テープ」の方は若干透明度が落ちることから、
ナミエシロ♂やスジボソヤマキ♀を展るときは「蝶研出版製旧スーパー展翅テープ」に比べ対象の蝶が少し見難いかもしれません。
とは言うものの、ご覧のようにシルビアシジミ裏面程度の濃さになると、問題無く展翅作業が進みました。
それから、静電気による鱗粉の付着は全くありませんでしたし、現在ギフチョウで2ヶ月ほど放置していますが「ゆるみ」
も全く生じていません。
最後に強度ですが、待ち針際での翅を押さえ込む力は「アートINBY製スーパー展翅テープ」の方が優れている反面、
テープを引っぱったときに待ち針から生じる亀裂に対する抵抗性は「蝶研出版製旧スーパー展翅テープ」の方が優れています。
以上の事から総合的に判断し、「蝶研出版製旧スーパー展翅テープ」の手持ちがなくなった場合、
次に購入する展翅テープは「アートINBY製スーパー展翅テープ」になるだろうと私は思っています。
2012年07月07日
06月上旬からここまでほぼ毎日キマリンを採ったり撮ったりしています。
こういう事をしているからでしょうか、先日バチがあたりました。
それは、蛭(ヒル)に吸われてしまったんですよ。
(ヒルからの出血も写っています。嫌いな方はクリックなさいませんように)
吸い付かれた場所は、京都市左京区の民家付近だったのですが、居るんですねぇ…。
さて、数時間後に西へ向け出発予定です。
目的地は島根県。
可能性は低いのでしょうが、既に私の脳内では「指が震える情景」まで完結しています。
休み明けを、お楽しみに…。
2014年12月01日追記:YouTubeにあった蛭の動画は削除済み。
2012年07月10日
キマリンを探しに行った島根県ですが、やっぱりと言うか期待通りと言うのか、カスリもしませんでしたわ。
日中、目星を付けた樹々を叩きまわってもベニシジミすら飛び出さず、また天気が良すぎたので16:20を過ぎても
「テリタイムは未だ先やなぁ〜」といった状況でした。そして京都の自宅から現地間の距離が400km程度あることから、
遅くとも17:00には帰路につかないと帰宅が23:00を過ぎてしまうので16:40には採集行動を終了致しました。
こんな根性無しでは、生息していたとしても採れませんな…。
こうしてキマリンに関しては全くダメであったものの、三角紙は多くの枚数を消費しました。使った枚数としては、
今シーズン最高だったかもしれません。
何故かと申しますと、種名は敢えて書きませんが、近未来には居なくなる可能性が非常に高いと判断したからであります。
昨年まで上部に在った自然度の高い湿地は埋め立て等により消滅しつつあるのが現状で、
辛うじて残っている湿地もバレーボールコートの半分程度に縮小してしまいました。
また、現在は無事に見える下部に在る湿地にも、産廃処理場から流れ出る未処理の汚水が流入しており、
湿地の環境悪化が懸念される状況です。
これまでに、各地・各種で「こんな事になるのなら、あの時もっと採っておけばよかった」と歯ぎしりするのを
何度も経験してきたものですから「今回こそ同じ轍は踏むまい」と、いっぱい採ってしまったんですよね…。
けど、これって、なんか空しいなぁ。
2012年07月13日
朝から日差し皆無で蒸し暑く、降りそうで降らない明るい曇り空が続くという、まさにキマリン日和の本日07月13日(金)。
私のココロを見透かしたかのように、
「今日は何処でシゴナニ中なのかな?」
と、某N氏より着信があったのは13:45。
未だこの時はちゃんと仕事をしていたのですが、その後ですわ、某所へ出掛けたのは。
そして先ほど17:20に帰宅。もちろん対象種はキマリンでございました。
やっぱり今日は予想通りのキマリン日和で、・△雄○雌のお持ち帰りの他に少なくとも□頭目撃しているので、
合計×・頭弱の個体が某ポイントに居た事になります。
このポイントで上記のような状況ということは、京都市周辺のキマリンもそろそろ終了です。
あと西日本で残るのは中国山地の山キマ。次の連休はこれを狙いに行くつもりなのですが、
蝶屋さんが居られるようなポイントでキマリンをやるのはどーも気がすすまないので、微妙にズレた場所へ行こうかと思っております。
2012年07月17日
↑アカスジキンカメムシさんです。
←三角点の標石です。
ということで、07月15日〜16日の海の日絡みの連休に行ってきたのは広島県〜島根県でございました。
興味深い話は皆無なのですが、これからしばらくはこのネタでしのごうと思っております。
因みに上に貼ったアカスジキンカメムシさんは、S山での撮影です。
2012年07月19日
「前回の画像から推定するに、S山の頂上まで登ったみたいやけど、
この時期そんな所まで行って何を狙うつもりやったん?」
との突っ込みは当然あろうかと思います。
何を隠そう、もちろん狙いはキマでございました。
この時期、S山においてキマを狙うのであれば、既知ポイントでテリ待ちするのが正攻法ですよね、
ハイ、これは解かっております。
けどね、既知ポイントには蝶屋さんが必ず居られます。その場にご一緒させていただいたうえで、
キマの登場をひたすら待つという状況が、私にはとても耐えられそうにありません。
この採集方法を執るぐらいなら、キマを採集できる可能性がたとえゼロに近くなったとしても、
別ポイント探しに挑戦するというのが私の習性でございます。
とは言うものの、全く勝算なしに行動した訳ではありません。
実は以前に、居なくなったと言われる芸北地方のヒョウモンモドキを探してみようと思い、
地形図を眺めていたところ、S山の山頂付近に緩やかな谷的地形が在るのに気付き、
「ココは状態の良い湿地である可能性が非常に高い」との読みで2003年07月27日の訪問したことがあります。
実際に訪れてみると、ヒョウモンモドキは見られなかったものの、予想通りに環境良好の湿地は存在しておりました。
そしてこの時に見た湿地周囲の樹林内に、大きくて老いたコナラやクリが混ざっていたような記憶があったものですから、
これらの樹々で発生したキマリンが、湿地付近の潅木やススキの葉上でテリを張るに違いないとの妄想が我が脳を支配し、
「10頭は固いな…」と呟きつつ登ったのでございます。
そう、↑の画像中央右に写っている潅木上でテリ争いをする4雄と少し離れたススキ上で点々とテリを張る3雄、
そしてココへやって来る3雌の合計でお持ち帰りは10頭という極めて都合のよい目論みを抱きつつ、
草原に突入いたしました。
結果、皆様の予想通り、テリを張っていたのは各種セセリ君ばかりでございました…。
|