何故ややこしいのかと申しますと、採集地点がですね [北海道札幌市南区砥山八剣山(観音岩山)南麓] なので、
「エゾ」 「ヤマト(北ヤマト)」 「ナミ」 の3種が混棲する地域といわれているからなのです。
実際のところ、私の実力 (タッパンなのにヤクルリだと思い込んで冷蔵庫に放置した前科あり) では、ホンマよーわからんのです…。
けど、この話でここまで引っぱったのですから、同定から逃げる訳にはいきませんよね。
それでは意を決してやってみましょう。
学研の標準図鑑62ページの 「ヤマト」 の解説中に
『春型では、スジグロシロチョウとの区別は一層困難に見えるが、後翅裏面基部にある
肩脈の状態で容易に判別できる。すなわち、本種の肩脈は短く先端が不明瞭であるが、
スジグロシロチョウでは、より長く外方へのび、先端は鋭くとがりより明瞭である。』
と記述されています。
前回貼った 「ナミ」 と判断した個体と比べると、この個体の肩脈は先端がぼんやりした感じに見えます。
また、同じく学研の標準図鑑62ページの 「ヤマト」 の解説中に
『北海道産は同地に混飛するスジグロシロチョウとは大きさおよび斑紋のいくらかの
ちがいのほかに、前翅裏面中室全面が白色であることによって (まれに暗色鱗を
散布してスジグロシロチョウとまぎらわしい個体があるが、全面白色であれば
本種と断定してまちがいない) 区別される。』
と記されているので、上に貼った個体はヤマトスジグロシロチョウ(北ヤマトPieris nesis nesis)
だと決定したいところなのですが、同ページ 「ヤマト」 の解説文中に、
『エゾスジグロシロチョウとの違いは、北海道産において裏面黒条が広いという傾向
はあるが、形態的には絶対的な区別点はない。』
とも書いてあるのです。
という事は、上に貼った個体が 「ナミ」 ではないと判断できるけれども、 「エゾ」 なのか 「ヤマト(北ヤマト)」
なのかをきっちり区別するのは 『無理』 ということなんですね〜。
「なーんだ、結局判らずじまいやんかいさー」 という結果になってしまったのですが、この個体の種名を私なりに無理やり決定するとすれば、
裏面黒条の雰囲気が学研の標準図鑑56ページ内で 「エゾ」 とされている21−4の個体よりも、
「ヤマト」 とされている21−13の方に近いと思うので、上に貼った個体はヤマトスジグロシロチョウ(北ヤマトPieris nesis nesis)
としておきたいと思います。
…と、昨日ここまで書いていたのですが、今朝来ていたメールで、前回トップに貼ったPieris3種として並べた画像の 「左個体はヤマトスジグロではないか」
とのご意見をベテラン蝶屋さんから賜ったのですよ。
う〜ん、そう言われればそんな気もしてきたなぁ。
けど、やっぱり、よくわかりませんわ。
この話題に踏み込まなければよかった…。
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